2022/04/24 11:03

今回は「ミツバチをどこから&どうやって手に入れるか」について書いていきます!

養蜂家と呼ばれる人たちはそれこそ何十群、大規模なところは何百の群を飼育してますね。それによって店頭には常に蜂蜜が並び、いつでも食べることができるわけです。

でもミツバチにも寿命はあります。女王蜂でも2~3年といわれており、飼育している群もいずれは女王蜂が死んじゃって消滅していきます。寿命以外にも、オオスズメバチにやられたりダニにやられたりで群が減っていくこともあります。


では飼育群を維持したり増やしたり、あるいは一から養蜂をはじめるために群を手に入れるには、どんな方法があるんでしょうか?

実はセイヨウミツバチとニホンミツバチで大きく違ってきます。
基本的には日本では野生化できないセイヨウミツバチと、野生でしかないニホンミツバチの違いですね(´∀`)

その違いにいく前に、ミツバチが群れを増やす方法である「分蜂」について簡単に説明しておきます!

ミツバチの分蜂



分蜂とは、元の巣から女王バチと共に群れが分かれて飛び立っていくことです。

新たな女王バチが生まれるとその娘に巣を譲るために、ずっと暮らしてた母親女王バチが群れの半分を引き連れてでていくという行動。違う場所で生息することで生き残る可能性をあげつつ、生息場所を拡大していくわけですね


ミツバチは個体数でみると何万匹という大きなコロニーを作ることが特徴です。子供が親の元を離れていく巣立ちは色んな動物が経験しますが、子供じゃなくて母親が飛び立つこと、また一緒に働き蜂も飛んでいって群れで移動するというようにちょっと違った”巣立ち”になります!

群れで飛び立つことで、新たな居住地でもすぐに巣作りを始めれます。ちなみに分蜂前には偵察バチが次の居住地を探してうろうろしてます。
飛び立つ前にはほんとに一気に群れで移動するために、ハチたちが集まって蜂球をつくります。上の写真がそれですね~


分蜂時にはそれこそ何万匹のミツバチが飛び交うのですごい音がします

初めて見る人はびっくりして通報することもあるらしいですが、このときのミツバチはすーごくおとなしいんです(´∀`)。なぜなら、体いっぱいに蜜をためて飛んでいくから。
新たな場所にはもちろん蜂蜜がないので、持てるだけ持ってくわけですね~

満腹のときは幸福です

ミツバチも同様、このときは滅多に怒りません。


ちなみに分蜂は同じ巣から何回もおきます。
もともとの女王バチからみると長女、次女、三女というふうに何匹かの女王バチを生みます。次女が生まれると長女が旅立ち、三女が生まれると次女が旅立っていきます。

新たに生まれた女王バチは、1~2回だけ交尾飛行を行ってオスバチと交尾し、その交尾の後はひたすら子どもを生み続ける生活を過ごしていくことになります。

セイヨウミツバチの入手方法



さてそれではミツバチの入手方法についてみてきましょう!
まずは受粉にも欠かせないセイヨウミツバチです。

セイヨウミツバチの場合、基本的に群れを“購入”することになります。

先にも言いましたが、セイヨウミツバチは野生になれません。

なぜなら日本最強のハチ、オオスズメバチへの対抗策を持ってないからです。彼らはミツバチを幼虫の餌とすべく襲ってきます。そして単体で挑んでくるキイロスズメバチと違い、ロックオンした巣に対して人数(蜂数)を割いて攻撃し、殲滅します。


日本で暮らしてきたニホンミツバチにとってもこいつらは天敵ですが、その戦い方は本能にインプットされてます。襲ってきたら籠城しつつ、有名な熱蜂球をつくってオオスズメバチに勝利することも可能です。

でもセイヨウミツバチには、日本原産のオオスズメバチのデータなんてもちろん入ってません。やべーやべーとは思いながらも、戦い方を知らないんですね。


その結果、セイヨウミツバチたちはタイマンでオオスズメバチに挑んでしまいます。
もちろん負けます。
どんどん蜂数が減り、最後には消滅してしまいます。


最近になって、セイヨウミツバチも蜂球を作ることが分かってきました。でもその中心温度はそこまで高くなく、オオスズメバチを殺し切るまではいかないとの報告もあります。

オオスズメバチが活動し始めるのは秋。
例え養蜂場から分蜂して野生となったセイヨウミツバチがいても、ほとんどはこの秋の襲撃にやられます。また寒さやダニの面からも越冬は難しいのが事実です。

ただ比較的暖かく、スズメバチがいない小笠原諸島などではセイヨウミツバチの野生化も確認されてるようですね(´∀`)

前置きが長くなりましたが、そういうわけで野生化できないセイヨウミツバチは飼育している人から譲り受けたり購入するしかありません。
値段はピンキリだと思います。


実は養蜂家にとっては蜂蜜と同じくらいハチ自体の取引も収入源になるらしいです。
特に受粉時期の農家さんへの貸し出しなど。セイヨウミツバチは逃げにくく、分蜂等の管理もしやすいためこういったハチ群れの売買がやりやすいんですね~

ちなみに週末養蜂といえば何となくニホンミツバチ、という雰囲気がありますが、もちろんセイヨウミツバチを趣味で飼育している人たちもたくさんいます。

ただニホンミツバチのような重箱式巣箱で飼育するのはちょっと相性が悪いようです。巣枠式という、木枠を出し入れできる構造の方が営巣がはやく分蜂も多いセイヨウミツバチには適してるようですね。


貯蜜量も多く逃げにくいので魅力的なんですが、巣箱の手作りの難易度が高いこと、けっこう気性が荒いこと(そのため採蜜のとき刺されやすい)、オオスズメバチ対策が難しいことに注意しつつ飼育する必要があります(`・ω´・)ノ"

ニホンミツバチの入手方法


ニホンミツバチの場合は、セイヨウミツバチと違って野生で暮らしていることが特徴です。
そのため野生のものを捕まえる!という方法を取ることができます。


もちろん野生のミツバチも分蜂するので、その分蜂群に新たな営巣場所として巣箱を選んでもらえれば群れをゲットすることができますね。

ですから、野生のミツバチをみかけた場所の近くにでも仮の巣箱を置いておき、分蜂群が入ってくるのを気長に待つわけです。このときの巣箱を“待ち箱”って言ったりします。



でもこれは中々難しい(-∀-)

想像してもらえれば分かると思いますが、野生のミツバチたちに待ち箱を気に入ってもらわないといけないし、待ち箱を置いた場所の近くにほんとにニホンミツバチの巣があるかもわかりません。

運にも左右されるので、1年目から2群、3群手に入ったという人もいれば3年たっても0群のままって人もいます。


捕獲の可能性をちょっとでもあげるため、待ち箱に工夫をする人たちも多いです。ニホンミツバチは中古物件、つまり過去に巣があったような場所を好むので、箱の内側に蜜蝋をぬったり、過去に使っていた巣箱を待ち箱にしたり。
あとは置く場所。風通しがよく、巣門の周りが開けている場所におくだったり。


そして誘引剤として有名なのが「待ち箱ルアー」と「キンリョウヘン」ですね。

ともにニホンミツバチを誘引するフェロモンのような物質をだすので、直接的にミツバチを呼び寄せることができます。ちなみにキンリョウヘンってのは蘭の一種。フェロモン物質を合成してつくったのが待ち箱ルアー。

キンリョウヘンを分蜂時期にうまく開花させるのが難しいこともあり、タイミングがきたら巣箱につけるだけでいい待ち箱ルアーは革命的ですね。ちょっとお高いのも納得です。


このように待ち箱にミツバチが入ってくれるのを待つ自然入居のパターンもあれば、もう強制的に捕獲する方法もあります。

ミツバチたちは分蜂するさい、蜂球をつくるんですね。木の根元とかに作ることが多いです。

こうなってる状態のミツバチたちを、そのまま巣箱に入れちゃうのが強制捕獲の方法です。普通は「あそこにいこう!」ってとこに飛び立つんですが、勝手に巣箱にいれちゃう。すると、いい巣箱だったらそのまま「もうここでいっか」と住み始めてくれるんです。

巣箱に入れたら半日から1日ほど時間を置き、落ち着いたところで自分が飼育したい場所へ移動させることになります。


こんな風に網で捕獲して巣箱の下へ。すると暗い方へとのぼって中で落ち着く。


運要素が大きい自然入居と違って、能動的に捕獲できるのが強制捕獲。でも、もちろんデメリットもあります。

まず分蜂群の蜂球を見つけないといけません。飼育している群がいるなら楽ですが、野生のものを捕獲するならその巣をみつけ、分蜂のタイミングを見張らないといけない。あんまり現実的ではないです。


また、蜂球のなかに女王蜂がいないパターンもあります。

普通は女王蜂のフェロモンに反応して蜂球つくるんじゃないのって思いますが、実はいなかったってのも結構あるらしい(-∀-)。その場合、せっかく巣箱にいれても女王がいないのでさっさと逃げて元の巣に戻ってしまいます。


他にも、強制捕獲だと飼育途中で逃げやすいという意見もあります。

ミツバチたちが「ここ!」って選んで入ってくる自然入居とちがい、こっちの都合で巣箱に入れちゃうわけなんで、何となく分かる気がします。



ということでニホンミツバチを入手する方法は

・野生の分蜂群の自然入居をまつ
・飼育群の分蜂群を強制捕獲する
・いっぱい持ってる人から譲ってもらう、購入する

などなど。


ニホンミツバチが分蜂するのは春から夏。特に4~5月がピークといわれてます。

重箱式の巣箱は作るのも簡単ですし、飼育してみたい人はぜひ待ち箱を設置してみてください(´∀`)


今回はミツバチの入手方法や分蜂という現象について書いてみました!


養蜂していなかったらあんまり見る機会はないですが、飛び回る羽音や蜂球が形成されていくさまはもう観光資源になるんじゃねとおもってます

これを書いているのがちょうど4月下旬、いろんな地域で分蜂が盛んにおこってます。がんばって群れを確保して、採蜜体験などもできるような規模にしていきたいですね!